竹崎瑞季|【アメリカ中西部】スカルプチャー・ミルウォーキー[前編]──国際的ネットワーキングの可能性
概要
本記事は、文化庁新進芸術家海外研修員としてアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーに滞在するキュレーター、竹崎瑞季による三回連載の前編である。2017年設立の非営利団体スカルプチャー・ミルウォーキーは、中心市街地のウィスコンシン・アベニューを主軸に年一回のパブリック・アート展を開催し、トニー・クラッグ、アニッシュ・カプーア、ソル・ルウィット、フェリックス・ゴンザレス=トレスら国際的に活躍する作家の作品を無料で24時間展示してきた。本稿はまず、シカゴの《Cloud Gate》やミネアポリス彫刻庭園など中西部他都市の事例と比較し、行政主導や美術館連携型とは異なり、企業主導のエリアマネジメント団体を起源とし、敷地管理者やオーナーとの個別協議を経て展示場所を決定する点に特徴があると指摘する。続いて、企業・団体・個人の寄付を主軸としつつ、メンバーシップ、作品販売、コンサルティング、業務委託を組み合わせたハイブリッドなファンドレイジングを紹介し、公共資金への依存が小さい運営の柔軟性を評価する。最後に、地域拠点でありながら国際的なクオリティの作品を紹介すること、過去の恒久展示作品「Legacy Artwork」と新作が共存すること、年ごとに新たな連携や普及活動を展開する「生きたプラットフォーム」としての性格を挙げ、次回は2017年以降のキュレーションの変遷を詳述すると予告する。
(出典:artscape)