山川陸|特別企画展「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」(前編)
概要
本記事は、長野県の水野美術館で2026年8月1日から9月27日まで開催された「特別企画展 芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」の前編レビューである。筆者は約190点の作品を通じて、幕末から明治期に活躍した「最後の浮世絵師」月岡芳年の画業を辿る。芳年は歌川国芳の門下で無惨絵(血みどろ絵)を確立し、明治期には『報知新聞』で事件を劇的に描き、西洋画の影響も取り入れた写実とデフォルメの中間的表现を特徴とした。本展の特徴として、無惨絵の展示エリアを迂回できる動線やトリガーアラートの設置、無惨絵を過剰に重視しないキュレーションが挙げられる。また、無惨絵の連作と同時期に描かれた「東海道名所図絵」(1868)の展示を通じて、動乱の時代が芳年の神経衰弱に影響した可能性を示唆する。後編では、この同時期性の事実と画面に描かれたものについて考察する予定である。
(出典:artscape)