原ちけい|まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険
概要
本展は、2024年にAperture社から刊行された『I'm So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』を起点とし、アルル国際写真祭でのグループ展を経て東京で開催されるもので、今井壽惠、岩根愛、藤岡亜弥、米田知子の4名を加えた30名の作品を紹介する。年代順ではなく、「写真というメディウムの多様性」「記録と記憶」「ジェンダー・身体・セクシュアリティ」「日常」という4つの章を通して異なる時代の実践を横断的に構成し、岡上淑子や山沢栄子から長島有里枝、HIROMIX、蜷川実花、渡辺眸、常盤とよ子、石内都らを同一空間に配置することで、個別に語られてきた作品のあいだに新たな連続性を捉えようとしている。一方で、女性写真家を可視化するために性別を前景化することが、女流写真家や女の子写真といった呼称による括りを別のかたちで反復する危うさも指摘し、女性を神秘化して純粋な対象として捉え直してしまっている印象も受けたと述べる。特筆すべきは終盤の年表で、山沢の活動から始まり、作家個人の活動だけでなく社会史と写真史の出来事を同一の時間軸上に配置し、女性写真家を性別という属性によってまとめ直すのではなく、それぞれの実践の差異として可視化することを示している。本展を、現在進行形で形作られている手探りの実践であると評価している。
(出典:artscape)