青山新|米澤柊「声なき声のキャラクター」(前編)
概要
本記事は、SNOW Contemporaryで2026年7月17日から9月5日まで開催される米澤柊の個展「声なき声のキャラクター」のレビュー(前編)である。展示作品はすべて2026年の新作で、7割近くが油絵である。米澤の制作は「アニマ(魂・生命性)」への関心に通底し、特にアニメーションの中割り技術「オバケ」に着目する。彼は、アニメーションの物語時間を補填するために見逃される存在である「オバケ」を一枚の図像として固定し、その身体の崩壊を過剰に押し進めることで、フレームレートに従う単線的な物語とは異なる非線形の時間的秩序を生み出す。油絵においては、絵具の乾燥速度というメディウム固有の時間が層の境界を浸潤可能にし、液体的な時間感覚が流れ込む。米澤は「世界が意味になる前の複雑さ」を考えたいと述べ、その作品は写真やAIのイメージとも共鳴しながら、記憶の脱臼や知覚の不完全性を露わにする。
(出典:artscape)