編集雑記……63──『急に具合が悪くなる』を見て
概要
本記事はartscapeの編集雑記第63回で、映画『急に具合が悪くなる』について論じている。公開から時間が経ったが、高嶋慈のレビューが出たことを機に執筆された。著者は福井彩香とのやりとりを振り返り、映画と原作を繰り返し鑑賞・読書したと述べる。砂連尾理が果たした重要な役割に触れ、演者と観客、障害と健常、介護する側とされる側の境界が溶解する終盤の介護施設中庭のコンタクトインプロヴィゼーションを称賛する。濱口竜介監督がマイナーな舞台作品のメソッドを映画に取り込む手腕を評価し、国際的な受賞に驚きを示す。原作は宮野真生子と磯野真穂の往復書簡であり、映画は忠実な再現ではなく、二人の学者の共振を描く点で通じると指摘する。資本主義を語るシーンにも触れ、介護現場の知人からの詳細なメモを紹介する。最後に、映画を巨大な社会構造へのエールとして位置づける。
(出典:artscape)