石川琢也|「視差―いつもそこに在るもの」展から考えるレジデンス事業の媒介的役割
概要
本稿は、Artist Cafe Fukuokaで開催された福岡アジア美術館の第26回アーティスト・イン・レジデンス成果展「視差―いつもそこに在るもの」を題材に、レジデンス事業における「媒介者」の重要性を論じている。
具体的には、ハン・ハンの氷を用いた作品が、試行錯誤を経て鑑賞者が素足で入る形式へと変化したプロセスを挙げ、作家の構想を地域の素材や事業者と結びつけるコーディネーターの役割に注目する。コーディネーターは、単なる事務局ではなく、作家と共に学び、地域との対話を促すことで、専門性の閉鎖性を打破し、地域に根ざした「使命共同体」を形成する存在であると指摘している。
最後に、福岡におけるレジデンス環境の拡充を見据え、作品そのものだけでなく、制作を支えるプロセスや媒介者の知見をいかに制度として継承していくべきかを問いかけている。
(出典:artscape)