大澤夏美|ミュージアムグッズ遊歩14──ミュージアムグッズから物語が始まる。ARGから考える「物」とミュージアム
概要
ミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美が、財布や日記など身近な「物」から始まるARG(代替現実ゲーム)に注目し、その仕組みと代表作を紹介する。ARGとは現実世界を舞台に様々なメディアを横断して展開するゲームや体験であり、参加者は日常のなかの「ラビットホール」から物語に入り込む。第四境界の『人の財布』のように、物語世界の「物」が現実の手元に届く作品では、レシートやカードなどの手がかりから持ち主の生活を想像していく。著者はこの行為がミュージアムで資料を読み解く営みと通底すると指摘し、スミソニアンでの『Ghosts of a Chance』や日本での「ミュージアムラリー2026」など、ミュージアムを舞台にしたARGの事例も挙げる。一方で、ICOMの職業倫理規程を引き、実在の資料や来歴を偽るのではなく、資料やミュージアムとの関わり方に物語を見出すべきだと論じる。展覧会の感想を書いて自分宛てに送ったポストカードの例を挙げ、持ち帰ったミュージアムグッズが新たな物語の始まりになりうると結論づける。
(出典:artscape)