藤井光「WHOSE LIGHT?」(アーティゾン美術館)開幕レポート。戦争画や核の「平和利用」を問い直す
概要
東京・京橋のアーティゾン美術館で、現代美術家・藤井光による展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×藤井光 WHOSE LIGHT? —だれのひかりか」が2025年10月24日から2027年1月31日まで開催される。本展は石橋財団コレクション22点と藤井の新作を含む作品を組み合わせ、古代ギリシアから中世、近代、戦後に至る歴史をたどりながら、植民地主義や戦争、核をめぐる問題を取り上げ、「真理」を生み出す構造そのものを問い直す試みである。
展覧会の着想源はプラトン『国家』第7巻の「洞窟の比喩」で、藤井は「光=真理」という関係に注目し、光が何を照らすかではなく「誰が光を照らしているのか」へと視点を反転させる。展示空間全体を人類史の物語として構成し、古代ギリシアの民主主義から始まり、キュロンの反乱を題材にした映像インスタレーション《第一の事実》(2018)、ローマ帝国の東方辺境とイラン帝国が接する地域の器物を通じて「ローマの平和」と武力の関係を問う新作《服従する者を赦し、驕る者を討て》(2026)、宗教改革期のデューラーやアルデグレーファーの版画などが展開される。美術作品を歴史の表象としてだけでなく、その背後にある社会構造や芸術家自身の立場にも目を向ける試みとなっている。
(出典:美術手帖)