杉江あこ|DOCOMOMO Japan 300選 選定記念「モダン・ムーブメントと建築の現在」
概要
ユネスコ世界文化遺産に登録される建築の多くは古代から近世の宗教建築や城郭などで、20世紀以降の近現代建築はわずかしかない。その不均衡を是正すべく近現代建築の登録が進むなか、1988年にオランダで設立され世界79支部を持つDOCOMOMOの活動が注目されている。2000年設立のDOCOMOMO Japanは日本建築学会とともに「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」を選定し、記録と保存・再活用の提案を行ってきた。本展はその選定が300件を超えたことを記念するもので、第1部「価値と魅力」と第2部「継承と活用」の2期にわたり、前川國男、坂倉準三、菊竹清訓、村野藤吾、吉阪隆正+U研究室、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所らによる約100作品を写真・映像・一部模型で紹介する。いずれも骨太かつ端正な建築が揃い、現存するものも取り壊されたものもある。築数年〜数十年の近現代建築は文化的価値が伝わりにくいという課題があるが、専門家の審美眼により300件超がリスト化されたことは、日本の近現代建築の価値が世に浸透する契機となり得る。日本の近代化や高度経済成長期を支えた名建築を観る機会だ。
(出典:artscape)