塚田優|移動撮影が浮かび上らせる身体──特集上映「Fire in Water 永田康祐映像作品集」(前編)
概要
本記事は、永田康祐の特集上映「Fire in Water 永田康祐映像作品集」を機に、彼の映像作品を論じた塚田優による批評の前編である。永田の作品では「食」が特権的な主題となっており、料理の特色や植民地支配との関係など多くの問題を孕む。例えば《Purée》(2020)では、ピュレやムースが食事に付随する野蛮さを純化する意味を指摘し、「口」が言語を発する器官として社会活動にも重要であることを、オキュパイ・ウォールストリートのデモ映像を交えて考察する。近年は料理を提供するパフォーマンスに注力していたが、再び映像制作に取り組み、韓国の酒造を取材した《Fire in Water》(2025)では、日本の植民地支配が酒造りや稲作に与えた影響を描く。その音響は発酵の泡立つ音が全編にわたって通奏低音のように鳴り続け、ドキュメンタリーの形式にギャップを生む。さらに《Suddenly This Overview》(2026)では、オーストラリアのカウラにある日本人墓地と隣接する日本庭園を題材に、オーストラリアの植生を生かしながら日本の風景として二重化する「見立て」に注目する。後編は2026年10月14日公開予定。
(出典:artscape)