山﨑健太|『王女メデイア』/『Qui som?─わたしたちは誰?』(SHIZUOKAせかい演劇祭2026④)
概要
5月に開催されたSHIZUOKAせかい演劇祭2026では、SPACのレパートリー作品である『王女メデイア』とフランス・カタルーニャのサーカス・アーティストが結成したバロ・デヴェルによる『Qui som?─わたしたちは誰?』の2作品が上演された。『王女メデイア』は宮城聰が原作エウリピデスを基に、明治時代の歓楽街を舞台にした「座興」形式で再構築し、男が語り、女が動く二人一役の手法を用いて、最終的に女たちが男たちを皆殺しにする衝撃的な結末へと転じる。再演は20年ぶりで、舞台の構造やテーマが現代日本の家父長制に対する批判として読み取れる。『Qui som?─わたしたちは誰?』はダンス・現代サーカス・演劇を融合させた多ジャンル作品で、失敗をテーマにシュールな笑いと身体能力を披露し、観客に対してアジテーションを行うことで、作品の終盤に政治的・社会的メッセージを投げかけた。両作品ともに、静岡芸術劇場や駿府城公園の紅葉山庭園前広場で上演され、観客に対して「これまで聞かれてこなかった声に耳を傾ける」ことを求め、祭り全体のテーマと連動している。
(出典:artscape)