上海外灘美術館「Youth Palace」から見る学びと、美術館という制度の主体性
概要
上海外灘美術館(RAM)で開催されている大規模グループ展「Youth Palace: or, some small acts of self-making」は、キュレーターであるX(朱筱蕤)が企画したものである。本展は、中国やベトナム、韓国、日本、イタリアなどから集まったアーティストたちによる新作や再構成作品を通じて、社会主義時代の教育制度である「少年宮」を再考する試みである。「少年宮」は、旧ソ連を起源とし、音楽や舞踊、演劇、美術、科学技術などを学ぶ場として整備された児童・青少年向けの課外教育施設である。本展は、この歴史的背景を出発点としながら、少年宮を単なるノスタルジーの対象としてだけでなく、教育や訓練、自由や主体性をめぐる矛盾を内包した装置として捉え直している。キュレーターであるXは、「Youth(若さ)」を生物学的な年齢ではなく、「つねに生成変化の途上にある政治的主体性」と定義している。本展は、美術館という制度そのものを問い直す場として構想されており、美術館全体をひとつの「少年宮」に見立て、展示と並行して4ヶ月にわたるワークショップやレクチャー、パフォーマンス・プログラムが展開されている。Xは、少年宮だけでなく、学校や美術館といった制度がいかに人々を形成してきたのかを問いながら、新たな思考の可能性を探ろうとしている。
(出典:美術手帖)