第7回「切断された身体」【佐藤直樹教授】東京藝大で教わる美術鑑賞のレッスン 東西比較で見る新しい美術史 雪舟の国宝「慧可断臂図」とホロフェルネスの首
概要
東京藝術大学の佐藤直樹教授による、東西の美術史を比較する連載の第7回です。テーマは「切断された身体」であり、西洋のルカス・クラーナハ(父)による《ホロフェルネスの首を持つユディト》と、日本の雪舟による《慧可断臂図》を対照させています。
クラーナハの作品は、切断面をグロテスクなほど克明に描くことで、暴力のリアリティや物語の確実性を強調しています。対して雪舟の作品は、身体の欠損を抑制して描くことで、肉体的な痛みよりも、禅の修行における「精神的な決意」や覚悟を表現しています。
この比較を通じて、西洋美術における切断が「処罰の結果」としての描写であるのに対し、東洋(特に禅の文脈)では身体を精神の「媒体」として扱い、「覚悟の表明」として描いているという、思想的な違いを明らかにしています。
(出典:美術展ナビ)